地域クラブの会費は「費目の積み上げ」と「保護者が妥当と考える水準」の間で決める
部活動の地域移行として受け皿となるクラブを立ち上げるとき、会費の金額は後回しにしにくい決めごとです。安く設定すれば運営が続かず、高く設定すれば参加できない子が出ます。
決め方は2つの数字を挟み込む形になります。1年間にかかる費用を費目ごとに積み上げた金額が下限、保護者が妥当と考える水準が上限の目安です。参加費の実態と保護者が妥当と考える水準は、いずれも月額3,000円未満が8割以上、月額4,000円未満が9割以上を占めています(出典:文部科学省「費用負担の在り方について」2025年)。
この記事でわかること
- 2026年度から始まる改革実行期間と、ガイドラインが会費に求めていること
- 参加費の実態と家庭の年間支出の数字
- 費目の洗い出しから月額に落とすまでの手順
- 払えない家庭を出さないための確認と、決めた金額の残し方
2026年度から何が変わるのか
2026年度(令和8年度)から令和13年度までが部活動から地域移行への「改革実行期間」と位置づけられ、前期(令和8〜10年度)と後期(令和11〜13年度)の間に中間評価が置かれます。休日の部活動は原則すべて地域展開する方針が示されています(出典:文部科学省「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」令和7年12月)。
会費については、運営団体・実施主体が生徒や保護者、地域住民の理解を得ながら、活動の維持・運営に必要な範囲で可能な限り低廉な会費を設定するとされています。あわせて、都道府県・市区町村は施設使用料を低廉な額とし、経済的に困窮する家庭の生徒の参加費用を支援する取組を進めるとされています(同ガイドライン)。金額を決める前に、自分の自治体がどの支援を用意しているかを確認する順番になります。
水準を数字で押さえる
家庭が1年に支払う額には、すでに差があります。運動部が50,857円、地域のスポーツクラブが155,799円で、約3倍の開きです(出典:公益財団法人笹川スポーツ財団「中学生のスポーツ活動と保護者の関与に関する調査(速報値)」2025年)。同調査では、世帯年収によって加入率や保護者の負担感に差があることも示されています。
既存の地域クラブの水準も参考になります。総合型地域スポーツクラブでは90.9%が会費を徴収しており、平成26年度の調査では会費の平均は月767円でした(出典:文部科学省「総合型地域スポーツクラブに関する実態調査結果」平成26年度)。多世代・多種目のクラブと、特定の競技を週に何回も行うクラブでは前提が違うため、この額をそのまま目標にはできません。自分のクラブがどちらに近いかを先に決めておきます。
1年分の費目を洗い出す

月額から考えると抜けが出ます。1年分の総額を出してから割るほうが確実です。金額の根拠は、相場ではなく自分の地域の実際の条件から取ります。
| 費目 | 何で金額が決まるか | 確認先 |
|---|---|---|
| 保険料 | 加入区分と人数 | スポーツ安全協会 |
| 指導者への謝金・報酬 | 契約の形と活動時間 | 自治体の委託条件、謝金の基準単価 |
| 施設使用料 | 施設の区分と使用時間 | 自治体の条例・使用料表 |
| 用具・消耗品 | 競技と会員数 | 直近の購入実績 |
| 大会参加費・遠征費 | 参加する大会の数 | 競技団体の大会要項 |
| 事務・通信費 | 連絡手段、印刷、振込手数料 | 実費 |
保険料は金額が確定している費目です。中学生以下の団体活動の掛金は2026年度も1人年額800円で、2026年度は個人活動中の熱中症補償の対象などが改定されました(出典:公益財団法人スポーツ安全協会「2026年度(令和8年度)スポーツ安全保険の改定について」2026年度)。指導者への謝金と施設使用料は地域差が大きく、自治体の委託条件が先にある場合はその条件が上限になります。
月額に落とす4つの手順
- 1年分の総額を出す: 上の6費目を合計します。年度初めにまとまって出る支出(保険、登録料、用具の入れ替え)を別に分けて書き出します。
- 確実な会員数で割る: 見込みの人数ではなく、いま参加を確約している人数で割ります。人が集まったら下げる方向の調整は説明しやすく、逆は難しくなります。
- 妥当と考えられている水準と突き合わせる: 月額3,000円、4,000円の線と比べ、超える場合は理由を費目で言える形にします。
- 差額の埋め方を決める: 自治体の補助の対象になるか、費目を落とせるか、遠征費のように参加者だけが負担する実費として分けられるかを検討します。
入会時に説明する項目も、このときに決めます。月額に含まれるものと含まれないもの、支払方法と期限、休会・退会したときの扱い、減免の条件、金額を変えるときの決め方の5点です。書面にして渡しておくと、年度途中の問い合わせが減ります。
払えない家庭を出さないための確認
家庭の経済状況で参加できない子が出ないよう、支援の確認を会費の決定と同時に進めます。
- 自治体の支援制度: 参加費の補助や減免を用意している自治体があります。申請の窓口と時期を確認します。
- 就学援助: 支給費目にクラブ活動費が含まれます。ただしクラブ活動費は比較的新しく追加された費目で、導入している自治体とそうでない自治体があります(出典:文部科学省「全国こども政策主管課長会議資料」2024年)。対象になる可能性があるかは、市区町村の教育委員会に確認してもらう形が確実です。
- クラブ内部の減免: 兄弟の在籍、年度途中の入会、休会中の扱いなど、条件を先に決めます。誰が判断するかと、他の保護者に事情が伝わらない申し出の方法も決めておきます。
決めた会費を記録として残す
金額が決まったら、規約と総会資料に費目と金額、改定の手続きを書き残します。運営団体・実施主体には、スポーツ団体ガバナンスコードに準拠した公正かつ適切な会計処理と、組織運営の透明性の確保が求められています(出典:スポーツ庁「地域クラブ活動の創設・運営ガイドブック」2026年)。
日々の実務としては、誰がいつ払ったかを個人ごとに残せる形にしておきます。通帳と現金の手渡しが混ざると、担当が交代した時点で未納の確認ができなくなります。年度末に決算として出す数字は、この記録の積み上げになります。
まとめ
- 会費は1年分の費目の積み上げを下限、保護者が妥当と考える水準を上限の目安として決める
- 参加費の実態も妥当と考えられている水準も、月額3,000円未満が8割以上
- 家庭の年間支出は運動部50,857円、地域のスポーツクラブ155,799円という差がある
- ガイドラインは可能な限り低廉な会費と、困窮する家庭への支援を求めている
- 決めた金額は規約と会計の両方に残し、個人ごとの入金記録を続けられる形にする
次の一歩は、6つの費目に自分の地域の金額を入れて1年分の総額を出すことです。会員数で割った数字が出れば、総会に諮る案の土台になります。
picotto で決めた会費と入金を記録に残す

会費の金額を決めたあとに残る作業は、誰がいつ払ったかを追い続けることです。スポーツチーム・教室の運営アプリ「picotto(ピコット)」では、会費と収支の記録を会員ごとに残せます。
会費・収支管理 入金の状況と収支を記録でき、未納の確認を一覧で行えます。無料プランでも記録を試せます。自動引落やカード決済の代行は行わないため、集金の方法は現在の口座振込や現金のまま使えます。 未納のリマインド・CSV出力 催促の機能とCSV出力は Premium 以上です。帳票や収支グラフも同じ範囲に含まれます。 予算管理・決算PDF 年度の予算管理や決算書類のPDF出力は Premium Plus 以上の機能です。
会費を決める作業と、決めたあとに記録を残す作業は別物です。記録の置き場所を先に用意しておくと、年度末の決算と次の代への引き継ぎが軽くなります。
最終更新: 2026年09月27日