地域クラブの指導者を確保する方法|2026年度からの部活動改革で整える4項目

地域クラブの指導者は、募集を出す前に活動日・年間の回数・謝金の原資と上限・役割の範囲の4項目を決め、そのうえで人材バンク、教員の兼職兼業、保護者や卒団生、有資格者という4つの経路に条件を提示して声をかけると引き受けてもらいやすくなります。

この記事のポイント

地域クラブの指導者は、探し始める前に4項目を決めると集まりやすい

学校の休日の部活動を引き受けることになり、まわりに声をかけてみたものの、返事が「日程による」「どこまでやるのか分からない」で止まる。地域クラブの指導者が確保できない場面では、人が足りないより先に、条件が決まっていないことが理由になっています。

活動日と時間帯、年間の回数、謝金の原資と上限、役割の範囲。この4項目を先に確定させてから声をかけると、相手は引き受けるかどうかを一度で判断できます。経路は人材バンク、教員の兼職兼業、保護者や卒団生、競技団体の有資格者の4つがあり、それぞれ手続きの重さが違います。

この記事でわかること

  • 令和8年度から始まる改革実行期間で、受け皿となるクラブに求められること
  • 募集を出す前に決めておく4項目
  • 指導者を探す4つの経路と、引き受けてもらった後の事務

令和8年度から始まる改革実行期間で、クラブ側に求められること

学校の部活動を地域が引き受ける動きは、2026年度から新しい段階に入りました。

文部科学省は令和7年12月に「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」を策定し、令和8年度から令和13年度までを「改革実行期間」と位置づけました。前期の3年間は、休日の地域展開を原則としてすべての学校で実現することを目指す期間とされ、平日の扱いは前期の検証を踏まえて中間評価の段階で改めて方針が定められます(出典:文部科学省「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」2025年)。

受け皿の側から見ると、休日の活動を継続的に担える体制を組めるかどうかが問われます。笹川スポーツ財団の調査では、運動部活動の地域展開・地域移行に取り組む市区町村は33.0%で、自治体が挙げる課題の最多は指導者確保でした(出典:笹川スポーツ財団「スポーツ振興に関する全自治体調査2024」2024年)。同調査では、人口規模の小さい自治体で「指導者の量の確保」を挙げる割合が高く、人口規模の大きい自治体では「持続可能な収支構造の構築」や「保護者・生徒への普及啓発・理解」も課題に挙がっています。


指導者が集まらないクラブに共通する3つの詰まり

夕方の体育館で中学生に動きを見せる指導者と、脇で見守るふたりの大人

声をかけても話が進まないとき、詰まっている場所は3つに絞れます。

条件を出さずに意向だけを聞いているのが1つ目です。「指導をお願いできませんか」という問いは、相手に何を引き受けるのかを想像させる作業を丸ごと預けています。返事が保留になるのは、断りたいからではなく決められないからです。

役割が一人に束ねられているのが2つ目です。技術指導、大会の引率、用具の管理、会費の集金、保護者への連絡を1人にまとめて依頼すると、指導だけならできる人が候補から外れます。

期間が示されていないのが3つ目です。年間の回数と、どの時点で見直すかが決まっていないと、引き受ける側は無期限の約束と受け取ります。1年ごとに更新する前提を示すと、判断の重さが下がります。


募集の前に決めておく4項目

条件は4つに整理すると、そのまま募集の文面になります。

  1. 活動日と時間帯。土曜の午前か日曜の午後か、開始と終了の時刻まで決めます。ここが決まらないと、他の予定を持つ人は検討に入れません。
  2. 年間の回数と見直しの時期。「年40回、3月に翌年度の継続を確認する」のように、期間と出口の両方を書きます。
  3. 謝金の原資と上限。会費、自治体の補助、助成金のどれで支払うかを決め、年間で支払える総額から1回あたりの金額を逆算します。全国共通の基準は置かれていないため、原資の額が上限を決めます。
  4. 役割の範囲。技術指導だけを依頼するのか、引率や会計まで含むのかを書き分けます。含まないものを明記しておくと、後から業務が広がるのを防げます。

この4項目を1枚にまとめておくと、次の経路のどれに声をかけるときも同じ紙を使えます。


指導者を探す4つの経路と、それぞれの手続き

経路によって、必要な手続きと引き受けてもらえるまでの期間が変わります。

経路 声のかけ方 手続きの重さ
自治体の人材バンク 教育委員会に求人として登録 登録・面談を経るため時間がかかる
教員の兼職兼業 依頼状を出し校長へ相談 報酬の有無で許可の要否が変わる
保護者・卒団生 クラブから直接依頼 軽い。役割の範囲の明文化が要る
競技団体の有資格者 競技団体・協会経由で照会 中程度。資格の更新状況を確認

人材バンクは複数の都道府県・市区町村が運用しています。指導希望者がオンラインで登録し、教育委員会が公開できる情報を市区町村へ提供、そのうえで連絡・面談を経て採用手続きに進む流れが示されています。登録者の顔ぶれは地域で偏るため、他の経路と並行して進めます。

教員の兼職兼業には明確な線があります。教師等が休日等の勤務時間外に、無償または交通費等の実費弁償の範囲内のみの支給で指導する場合、服務監督教育委員会の兼職兼業の許可は不要とされています。報酬を支払う場合や有償ボランティアの場合は許可が必要で、依頼状をもとに校長等の了承を得たうえで教育委員会へ申請します(出典:文部科学省「公立学校の教師等が地域クラブ活動に従事する場合の兼職兼業について」2024年)。謝金を払うつもりなら、手続きの時間を逆算して依頼状を早めに出しておきます。

なお、学校が任用する部活動指導員は別の制度です。学校教育法施行規則にもとづく職で、実技指導のほか学校外での活動の引率や用具の点検、保護者への連絡が職務として通知で示されています(出典:スポーツ庁「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」2017年)。クラブが依頼する指導者とは任用の主体が違うため、募集の文面で書き分けます。

有資格者を探す場合、日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者は2024年10月1日現在で724,955名が登録しており、地域スポーツクラブや少年団での活動を想定したスタートコーチ(ジュニア・ユース)は28,738名です(出典:公益財団法人日本スポーツ協会「日本スポーツ協会(JSPO)の取組について」2024年)。地域の受け皿としては、令和6年7月1日現在で3,448の総合型地域スポーツクラブが創設されており、1,325市区町村にクラブがあります(出典:スポーツ庁「令和6年度総合型地域スポーツクラブ育成状況調査」2025年)。近隣のクラブと指導者を融通し合う相談先にもなります。


引き受けてもらった後に必要な3つの事務

picottoの管理者ダッシュボード。出欠未回答者数、登録選手数、会員数などが一覧で表示されている

引き受けてもらってから慌てるのは、保険と連絡の2つです。先に用意しておきます。

保険の加入区分を確認します。スポーツ安全保険には指導・審判を含む区分があり、2026年度は高校生以上64歳以下のスポーツ活動(指導・審判を含む)が年額2,000円、中学生以下の団体でのスポーツ活動等が年額800円です。保険期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日までのため、年度をまたぐ時期に空白が生まれないよう加入手続きの時期を決めておきます(出典:公益財団法人スポーツ安全協会「2026年度(令和8年度)スポーツ安全保険の改定について」2025年)。

日程の共有を、口頭とチャットの両方から切り離します。指導者は他の予定と並行して動いているため、月単位の予定が1か所にまとまっていて、変更が履歴として残ることが実務上の条件になります。

活動の記録を残します。誰がいつ指導したか、参加人数は何人だったかの2項目で足ります。謝金の支払い根拠になり、自治体へ実績を報告する場面でも同じ記録を使えます。


まとめ

  • 令和8年度から令和13年度が改革実行期間で、前期3年間は休日の地域展開を原則すべての学校で実現することを目指す段階にある
  • 指導者が集まらない原因は、条件・役割・期間の3つが決まっていないことにある
  • 募集の前に活動日、年間の回数、謝金の原資と上限、役割の範囲の4項目を1枚にまとめる
  • 経路は人材バンク、教員の兼職兼業、保護者や卒団生、有資格者の4つ。教員に謝金を払う場合は許可の手続きが要る
  • 引き受けてもらった後は、保険の加入区分、日程の共有、活動の記録の3つを先に用意する

次年度の体制を組むなら、4項目を書き出した1枚を用意するところから始めてみてください。


picotto で指導者との日程共有と募集の掲示をまとめる

指導者に渡す情報が、メールとチャットと紙に散らばっているうちは、条件の確認だけで往復が増えます。picotto は、スポーツ少年団やクラブの運営をまとめて管理するアプリで、予定の共有と募集情報の掲示を同じ場所で扱えます。

スケジュールと出欠管理 月単位の活動予定をクラブ全体で共有し、指導者にも同じ画面を見てもらえます。参加者の回答が集計されるため、当日の人数を前もって伝えられます。無料プランでも試せます。

公式HP チーム紹介や募集情報を公開でき、指導希望者に渡すページを別で用意せずに済みます。独自ドメインの利用は上位プランの対象です。

お知らせ 日程変更をグループ単位で配信できます。メール・Push通知や既読確認は有料プランの機能のため、無料の範囲で運用するか有料に切り替えるかを、必要な連絡の量から判断してください。

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よくある質問

地域クラブの指導者に資格は必要ですか?
全国一律の法令上の要件は置かれていません。日本スポーツ協会には地域スポーツクラブや少年団での活動を想定したスタートコーチという公認資格があり、募集要件を自治体が定めている場合はその条件に従うことになります。
学校の先生に引き続き指導してもらうことはできますか?
兼職兼業の枠組みで可能です。休日等の勤務時間外に、無償または交通費等の実費弁償の範囲内のみの支給で指導する場合は許可が不要とされ、報酬を支払う場合は服務監督教育委員会の許可が必要になります。
部活動指導員と地域クラブの指導者は同じものですか?
別のものです。部活動指導員は学校教育法施行規則にもとづいて学校が任用する職で、会計年度任用職員として置かれるのが通例です。地域クラブの指導者はクラブが自分たちで依頼します。
謝金はいくらに設定すればよいですか?
全国共通の基準はありません。会費・自治体の補助・助成金のどれを原資にするかを先に決め、年間で支払える総額から1回あたりの金額を逆算する順序が実務的です。報酬の税務上の扱いは自治体や専門家にご確認ください。
保護者に指導をお願いしても問題ありませんか?
役割の範囲を書面で決めておけば現実的な選択肢になります。技術指導と引率、会計を同じ人に集めないように分けておくと、負担が一点に寄らず続けやすくなります。